「儲かる仕組み」の理解(その2):等価交換が商売の大原則
2025.01.23
「儲かる仕組み」の理解(その2):等価交換が商売の大原則
商売の大原則は「等価交換」です。
つまり、同じ価値のもの同士を交換するということです。
八百屋で「一房のバナナ」を100円で買うことを考えてください。
この取引は、バナナの価値が100円で、100円硬貨の価値は当然100円なので、成り立つわけです。
これが「等価交換」という取引です。
「当たり前じゃないか」と怒られそうですが、我慢して聞いてください。
この取引は、バナナの価値が100円で、100円硬貨の価値は当然100円なので、成り立つわけです。
これが「等価交換」という取引です。
「当たり前じゃないか」と怒られそうですが、我慢して聞いてください。
八百屋は、売った段階で、売上100円、仕入原価80円(80円で仕入れた場合)、利益20円がPL(損益計算書)上で確定します。
しかし、このバナナの売値の100円は誰が決めたのですか。
そう、八百屋のご主人です。
ならば、200円で売ることも可能で、利益は120円にもなります。
「そんなに値上げしたら売れないだろ」ですか。
その通りかもしれませんが、売れる可能性はゼロではありません。
昔懐かしい「ふうてんのトラさん」で渥美清演じるトラさんなら、言葉巧みに売ってしまうかもしれませんね。
そうです。最終的な売上価格を決めるのは売り手側なのです。
しかし、建設工事の場合は、バナナ販売ほど簡単ではありません。
そこで、工事担当者の意識から変えましょう。
「えっ、何の関係がある?」と思うでしょうが、まあまあ・・
そう、八百屋のご主人です。
ならば、200円で売ることも可能で、利益は120円にもなります。
「そんなに値上げしたら売れないだろ」ですか。
その通りかもしれませんが、売れる可能性はゼロではありません。
昔懐かしい「ふうてんのトラさん」で渥美清演じるトラさんなら、言葉巧みに売ってしまうかもしれませんね。
そうです。最終的な売上価格を決めるのは売り手側なのです。
しかし、建設工事の場合は、バナナ販売ほど簡単ではありません。
そこで、工事担当者の意識から変えましょう。
「えっ、何の関係がある?」と思うでしょうが、まあまあ・・
工事担当者の方は「原価はともかく、売上(契約額)は自分ではコントロールできない」と思っていませんか。
では、ここで少し財務会計の話をさせてください。
「いいよ」と仰る方は読み飛ばしてくださって結構ですが、この先も読みたい方のために続けます。
建設工事は、受注時の請負額=(確定した)売上額にはなりません。
あくまでも“売上見込み額”、つまり「たぶん売上になるだろう金額」なのです。
さらに言えば、工事原価も「たぶん原価になるだろう金額」です。
つまり、双方とも工事が完成するまでは確定せず、「たぶん・・」データであり、経理データにはならないのです。
「損益計算書」に表示される売上、原価、経費のすべては「確定したデータ」のみであり、見込みや“たぶん・・”を組み入れることはできません。
建築工事であれば、建物が完成して顧客に引渡しが終わった段階で売上が確定して、ようやく「売上(完工高)○○円」という仕訳がPL(損益計算書)上に出てくるわけです。
その時、原価も「会計上の原価」として、ようやく見えるわけです。
つまり、工事が完成するまでの間は、売り上げも原価も確定しないままということになります。
しかし、それだと「完成するまで何も見えないじゃないか?」となり、困るので、完成前に顧客から受け取ったおカネ(前受金)は「借りた金」、仕入先や工事業者に支払ったおカネ(前払金)は「貸した金」として、PLではなくBS(貸借対照表)に資産および負債として計上されるようにしたのです。
ただ、工事以外の取引でも前受金や前払金が発生するので、これと区別するため、
「前受金⇒未成工事受入金」、「前払金⇒未成工事支出金」という科目名にしたのです。
これが「建設財務」という財務体系です。
その時、原価も「会計上の原価」として、ようやく見えるわけです。
つまり、工事が完成するまでの間は、売り上げも原価も確定しないままということになります。
しかし、それだと「完成するまで何も見えないじゃないか?」となり、困るので、完成前に顧客から受け取ったおカネ(前受金)は「借りた金」、仕入先や工事業者に支払ったおカネ(前払金)は「貸した金」として、PLではなくBS(貸借対照表)に資産および負債として計上されるようにしたのです。
ただ、工事以外の取引でも前受金や前払金が発生するので、これと区別するため、
「前受金⇒未成工事受入金」、「前払金⇒未成工事支出金」という科目名にしたのです。
これが「建設財務」という財務体系です。
このように、売上額も原価も、工事進行中はPL(損益計算書)に出てこないので、分かりにくいのです。
BS(貸借対照表)には「未成工事受入金」や「未成工事支出金」として“別の形”で表現されるのですが、財務関係者以外は、見る機会があまりなく、理解が進みません。
そして、建設財務の最大の問題点は、工事中の案件の請負高が“どこにも表現されないことです。
BSの「未成工事受入金」は、契約時の請負金の一部に過ぎません。
もちろん、企業は受注した工事の「請負金」を把握しているでしょうが、この金額はPLにもBSにも出てこないのです。
工事が完成して初めてBS勘定からPLの売上および原価への振替えが行われ、ようやく損益勘定として見えてくるわけです。
そして、建設財務の最大の問題点は、工事中の案件の請負高が“どこにも表現されないことです。
BSの「未成工事受入金」は、契約時の請負金の一部に過ぎません。
もちろん、企業は受注した工事の「請負金」を把握しているでしょうが、この金額はPLにもBSにも出てこないのです。
工事が完成して初めてBS勘定からPLの売上および原価への振替えが行われ、ようやく損益勘定として見えてくるわけです。
こんなこと、本サイトをご覧のみなさまからは「分かっているよ、馬鹿にするな」と怒られそうですね。
しかし、そんなことを言えるのは営業の管理職や経理や役員レベル(?)の人たちだけです。
社員の大半はもちろん、社外から理解することは至難の業です。
実は、財務諸表の提出を受けていて、財務知識もあるはずの銀行行員でも、分からない人が大半なのです。
私は、某メガバンクの依頼で営業職の行員たちに「建設財務の仕組み」の研修を行ったことがあります。
銀行内で「建設会社の財務諸表は、さっぱり理解できない」という声が多かったようで、依頼されたのです。
その時の質問で多かったのが、「未成工事受入金」とか「未成工事支払金」という処理の不可解さでした。
どうして、その都度「部分売上」とか「部分原価」として計上しないのか、という疑問です。
『そう、そのほうが正当な会計処理なんです』と言いたかったのですが、『旧建設省と大蔵省(現財務省)とで、そのように決めてしまったのです』と答え、『部分売上も認められていますが、処理が面倒なので、行う会社はほとんどありません』と説明しました。
そして、『このように利益や原価の計上を“あいまい”にしたほうが良いと思う人が多かったのでしょうね』と付け加えたところ、笑いが起きました。
※注釈
「建設財務」は「製造業会計」から派生した会計手法です。
「製造業会計」との一番の違いは「外注費」が独立した原価となっている点です。
製造業会計における原価は材料費、労務費、経費の3つで、外注費は経費の中に含まれています。それに対し、外注比率の多い建設工事の原価は外注費を独立させて4原価にしたのです。